試験講評

試験を採点して思ったことを書きます。 まず、特に IP を選択した人が多かったです。 次が無線 LAN です。 いずれも得点の低い人が多かったですが、原因は全容を示してないことです。 細部に渡って深く書いてあってもそれは自動車を説明するのにタイヤのゴムの 品質を語るようなもので、この試験の趣旨にはふさわしくありません。 基本的に、プロトコルの全容を薄く広く網羅し、原理を図示したものに満点を 与えています。

IP に関しては、何をするプロトコルが書かれてない場合が多かったです。 これが分かっていれば「ホップバイホップルーティング」「ルーティングテー ブル」などという重要単語をきちんと明記できたはずです。 また、サブネットという単語も書いている人は少なかったです。

無線 LAN に関しては通信ネットワークでもやったばかりで記憶が新しいかもし れませんが、出題はあくまでもプロトコルですので、物理的な特性は本講義で はあくまでも背景に過ぎません。 プロトコルで抑えなければならないのは、規格である 802.11 (a,b,g,n)、通 信方式 CSMA/CA 、セキュリティ WPA2(802.11i) です。

TCP に関しては、重要なのはプロトコルの目標である信頼性のある容量制限の ない端末間同士のプロトコルであることと、ポートによる多重化、 ACK がど のように送られるか、 輻輳制御ウィンドウとはなにかというあたりです。 特に、 3way ハンドシェイクを独立して書いている人がいましたが、なんのた めに 3way ハンドシェイクが必要かは書かれてなく、ただ単にパケットのや りとりの様子のみを書いている人が多かったです。


坂本直志 <sakamoto@c.dendai.ac.jp>
東京電機大学工学部情報通信工学科