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第 9 回 ALOHA

本日の内容


このドキュメントは http://edu.net.c.dendai.ac.jp/ 上で公開されています。

9-1. データリンク層

本日からは、物理層を利用してデータ通信をするデータリンク層に関する話題 を取り上げます。

今回は ALOHA というプロトコルを取り上げます。 これは電波を利用して通信するものですが、利用する電波は二チャンネルしか ないものです。 これを複数の端末で共有します。 このようにチャンネルを共有するような方式をマルチプルアクセス (MA)と言い、どのようにして競合を避けるかが重要な問題となります。

9-2. ALOHA

ハワイ大学は 1970 年代に島に散在しているキャンパス間のコンピュータネッ トワークとして、無線を利用したネットワークの研究をしていました。 このネットワークはアップリンクとダウンリンクの二つのチャンネルしかなく、 各端末はこれらのチャンネルを競合していました。 ここで使われた ALOHA プロトコルは次のような非常に単純なものでした。

  1. 送信したいパケットがあったらすぐに送信する。
  2. もし混信したら任意の時間待って再送する。

さて、このようなプロトコルの効率は良いのでしょうか? 悪いのでしょうか?

待ち行列理論

ポワソン分布

まず、考えるのが、効率を考える前提です。 どのような使われ方を想定するのかで効率は大きく変わります。 パラメータを少なく設定したいので、ここでは次のような前提を考えます。

  1. パケットはランダムに発生する
  2. 単位時間内のパケットの平均生成率は一定値 λ

さて、このランダムに発生すると言うのはどのように考えれば良いでしょうか?

ここでは「直前になにが起こったかに関わりのない性質(無記憶性)」としてと らえることにしましょう。 例えば、時刻 0, x, y(0<x<y) のそれぞれに関して、次の確率を考えましょう。

p(0,x)
時刻 0 から時刻 x までパケットが生成しない確率
p(x,y)
時刻 x から時刻 y までパケットが生成しない確率
p(0,y)
時刻 0 から時刻 y までパケットが生成しない確率

ここでパケットが生成しない確率を考えたのは、 「時刻 0 から時刻 y までパケットが生成しない」 ということは 「時刻 0 から時刻 x までパケットが生成しない」ことと 「時刻 x から時刻 y までパケットが生成しない」ことの両方が満たさせるこ とを意味するという関係になっているからです。 つまりこれは積事象ですから、確率の関係は次のようになります。

p0x · pxy = p0y

また、さらにこれは時間だけに依存して時刻だけにしか依存しないので、 次が成り立ちます。

pxy = p0y-x

したがって、改めて時間 T に対してパケットが生成しない確率を P(T) で表 すと、 T+ΔT 時間パケットが生成しない確率は次の通りです。

PT+ΔT = PT · PΔT

これよりP(T)の導関数を求めます。

PT+ΔT - PT ΔT = PT · PΔT - PT ΔT = PT · PΔT - 1 ΔT

ここで、 PΔT - 1 ΔT の値は適当な値 c1 に収束すると仮定します。 すると、両辺の極限をとると次のようになります。

PT T = c1 PT
PT PT = c1 T
PT PT = c1 T

積分定数を c2 とすると次のように得られます。

log PT = c1 T + c2
PT = e c1 T + c2

ここで、P(0)=1 より c2 = 0 となり最終的には次の形になります。

PT = e c1 T

さて、ここで T 秒間に k 個パケットが発生する確率を考えましょう。

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坂本直志 <sakamoto@c.dendai.ac.jp>
東京電機大学工学部情報通信工学科