第 11 回 高周波回路(1)

本日の内容


11-1. 宿題の解答

宿題

次の回路の電圧利得を求めなさい。

解答

入力端子と、左側の FET のソース間の電圧を V' と置きます。 すると、左側の FET の入力電圧は V'、右側の FET の入力電圧は V' - V1 となります。 従って、相互コンダクタンスを gm とす ると、左側の FET のドレイン・ソース電流は gm V'。 右側の FET のドレイン・ソース電流は gm (V' - V1 ) となります。 従って、左側の FET のドレインの電圧は (電源電圧) - RDgm V'。一方、右側の FET のドレインの電圧は (電源電圧) - RDgm (V' - V1 ) となります。 従って、V2 = RD gm V1 となります。 つまり電圧利得は Av = RDgm となります。

11-2. 高周波回路

これから学ぶこと

高周波回路は本質的に難しい問題を抱えています。 これは、配線材料のインダクタンスを無視できなくなることと、 異なる線材間のコンダクタンスが無視できなくなることによる、複雑な回路の 分析や期待と異なる回路の動作が発生するからです。 なお、線材の長さによる影響は、線をなるべく短くすることで対応できますが、 一方、トランジスタの端子間のコンダクタンスなどはどのようにしても無視で きません。

トランジスタの端子間のコンダクタンスによる影響には次のようなことがあり ます。

  1. 入力端子からアースへの容量による増幅特性の悪化
  2. 出力端子からの帰還作用による発振の危険性

これらを理解して対処するため、これから次のようなことを学びます。

  1. 高周波回路におけるトランジスタの等価回路と y パラメータ
  2. 高周波特性、ミラー効果、GB 積
  3. 同期回路
  4. 中和回路(発振を防ぐ回路)

トランジスタの等価回路と y パラメータ

FET

FET では図のように各端子間にコンデンサが存在するような状況だと考えます。

ソース接地回路を考え、従来のように等価回路で表すと次のようになります。

このままでは回路の解析が難しいです。

J-TR

接合型トランジスタでも同様の考え方ができますが、次のようなハイブリッ ドπ型モデルと呼ばれる等価回路により計算することもあります。

y パラメータ

高周波回路の解析では、トランジスタを h パラメータではなく、 y パラメー タによって解析を行います。 y パラメータとは入力電流、出力電流を、入力 電圧、出力電圧で表したもので、係数であるアドミッタンスは一般に複素数に なります。


I_1 = y_{1 1} V_1 + y_{1 2} V_2

I_2 = y_{2 1} V_1 + y_{2 2} V_2

y パラメータを使用すると帰還を考えやすくなるという利点があります。 y パラメータが表す等価回路はつぎの通りです。

上の FET の回路を y パラメータの四端子回路に変換します。 まず、 V_2 を短絡して、0 として、 V_1 の係数を求めます。


I_1 = j omega ( C_{g s} + C_{g d} ) V_1

I_2 = g_m V_1 - j omega C_{g d} V_1

また、 V1 を接地して、 V2 の係数を求めます。


I_1 = - j omega C_{g d} V_2

I_2 = LRparen{ j omega (C_{g d} + C_{d s} ) + frac{1}{r_d}} V_2

まとめると次のようになります。


I_1 = j omega ( C_{g s} + C_{g d} ) V_1 - j omega C_{g d} V_2

I_2 = (g_m - j omega C_{g d} ) V_1 + LRparen{ j omega (C_{g d} + C_{d s} ) + frac{1}{r_d}} V_2

matrix left 2 2
{y_{1 1} = j omega ( C_{g s} + C_{g d} ), }
{y_{1 2} =  - j omega C_{g d}, }
{y_{2 1} = g_m - j omega C_{g d} ,}
{y_{2 2} =  LRparen{ j omega (C_{g d} + C_{d s} ) + frac{1}{r_d}} .}


matrix left 2 2
{C_{i n} =  C_{g s} + C_{g d} , }
{y_{1 2} =  - j omega C_{g d}, }
{y_{2 1} = g_m - j omega C_{g d} ,}
{C_{o u t} =  C_{g d} + C_{d s}.}

11-3. 宿題

y パラメータの電圧利得、電流利得を求めなさい。


坂本直志 <sakamoto@c.dendai.ac.jp>
東京電機大学工学部情報通信工学科