第 3 回 ディジタル通信

本日の内容


このドキュメントは http://edu.net.c.dendai.ac.jp/ 上で公開されています。

3-1. アイスブレイク

本日の属性

音楽系の習い事の経験がある 声が高い
学籍番号 氏名 (番号欄)
ヘッドフォンまたはイヤフォンを今持っている 名前が4文字じゃない

手順

  1. 全色が揃うように4人前後の班を作る
  2. 班ごとに着席する。椅子を動かして机を囲むようにする。(使わない机を動かしても良い)
  3. 順番を決める
  4. 作成した4枚の用紙に決まった番号を記入する
  5. 班員に用紙を名刺代わりに配る
  6. 1番から色を付けた属性を含めた自己紹介を1分程度で行う

3-2. レポート課題

アナログ信号の特性(班)

CDのサンプリング周波数を調べ、各自で実験した後、それが妥当かどうか を班で議論する。最終的にどのような結論になるかは自由である。 以下についての議論を含むレポートを作成すること

  1. 実験手法が妥当か妥当でないか?また、改善方法はあるか?
  2. 実験結果に関する考察
  3. CDのサンプリング周波数に関する結論とそれに至る理由

実験の注意

  1. 聞きづらくてもボリュームを大きくしないでください。耳にダメージが 残る恐れがあります
  2. 不快な音を聞くと気分が悪くなることがあります。回数は控えめにし、 気分が悪くなったら中断して休息を取ってください。

実験

  1. YouTube で「20kHz」などのキーワード検索をし、低い音から高い 音まで再生している動画を見つける
  2. 再生して、個人で下記の周波数や周波数帯域を調べる
    1. 聞こえる最も低い周波数
    2. 自分の声の周波数帯域
    3. うるさいと思う周波数帯域
    4. 聞こえる最も高い周波数
  3. 個人差、機材の差、環境などを考慮し、再生方法(スピーカ、ヘッドフォ ン)や機材の取り換え(スマホ、PC)などを行い、何度か調べる
  4. 実験結果を班でまとめ、「人間の感覚」と一般化した結論を導く

結論例

  1. 何もかも妥当
  2. サンプリング周波数はもっと高くすべき
  3. サンプリング周波数はもっと低くすべき
  4. 手持ちの機材の性能が低くて議論にならない
  5. 実験方法に問題がある(YouTube、パソコン、スピーカーが怪しい)

アナログ通信、ディジタル通信

以下の事柄を班で意見を出し合い、まとめてください。

  1. アナログ通信の例
  2. ディジタル通信の例
  3. アナログ通信のメリット
  4. ディジタル通信のメリット

締切、提出方法

来週火曜日の夕方までに <sakamoto@c.dendai.ac.jp>宛に CDのサンプリング周波数に関するレポートと、アナログ通信、デジタル通信 に関するレポートを班でまとめて一通作成してメールすること。

3-3. 講義

ディジタル通信

情報をディジタル通信をするにはどうすればよいでしょうか?

モデル1

単純に考えれば、次のようなモデルで通信出来ます。

モデル0
情報 ー1→ ディジタルデータ ー2→ 物理現象
↓3
情報 ←1ー ディジタルデータ ←2ー 物理現象

ここで矢印1は符号化と言われる操作です。 文字、音声、映像など様々な情報も、必ずディジタルデータにする必要があり ます。 符号化を code と言い、逆のディジタルデータから情報を取り出す操作を 復号化(decode) と言います。さらにこの両方を一緒に行う装置を codec(コーデック) と言います。

通信で一般的に使う物理現象は、音、光、電波などの波を使います。 そのため、上記の物理現象は「波」となり、矢印3は波の伝搬になります。 ディジタルデータを特定の波に変換する操作を変調(modulate) と言い、波からディジタルデータを取り出す操作を 復調(demodulate), 変調、復調を行う装置をmodem(モデム)と言います。 変調では、データの速度に対応した波ををそのまま送るのではなく、高い周 波数の波を使用して、データを送ります。 この変調に使う高い周波数の波を搬送波(キャリア)と言います。

モデル1
情報 ー符号化→ ディジタルデータ ー変調→
↓波の伝搬
情報 ←復号化ー ディジタルデータ ←復調ー

モデル2

データを高い周波数の波で送るため、実際のデータ速度に対して 変調された波は時間的に余裕があります。 ディジタルデータでは、一定間隔でデータを送る必要はありませんので、様々 な有用な処理を加えることが出来ます。

暗号化
情報の秘匿化や有料サービスなど、具体的な情報のやり取りが第三者に 漏洩しない仕組み
誤り訂正符号
通信は必ずしも100%成功しないので、小さな確率で通信が失敗するとき に、符号を冗長化して、受信したデータだけで誤りを訂正できるようにす る
多重化
サービスの高度化や大容量化のため、一つの通信システムで多くの通信 を実現させる

このような処理を加えたモデルを示します。

モデル2
情報 ー符号化→ ディジタルデータ ー暗号化→ ー誤り訂正符号→ ー多重化→ ー変調→
↓波の伝搬
情報 ←復号化ー ディジタルデータ ←暗号復号ー ←誤り訂正ー ←多重分離ー ←復調ー

ディジタル通信と符号

ディジタル通信

情報を物理現象を使って伝達することを考えます。 我々が日常行っているのは、言葉を音声にしたり、文字として書いたりしてい ます。 人間が行っているこれらの行動は、そのままコンピュータが行うには複雑す ぎます。 コンピュータが通常行っているのは、基本的に0,1という2つの状態を 表す物理現象(onかoff,波の有無、高い周波数と低い周波数など)を時間的に繰 り返して、0と1の列を送ることです。 今回は、符号化について考えます。

アナログ信号のディジタル化

音声などのアナログ信号をディジタル符号にするにはどうすればよいでしょ うか?

基本的には有限長のディジタル符号で、表現できるものは有限でしか無いの で微細なアナログ波形すべてをディジタルで表現できません。 そのために考えられるのが、帯域制限です。

波は一般的に、フーリエ級数で表すことができます。

x λ = 12 a0 + a1 cos λ + a2 cos 2 λ + ... + b1 sin λ + b2 sin 2 λ + ...

その際、フーリエ級数を有限で打ち切ると、高い周波数成分を失った波形に なります。 これは a0 a1 b1 a2 b2 ... ak bk という有限個の情報だけからなる 波形です。 さらに、この各係数も有限桁で近似することにより、元の波形を有限の情報で 近似することができます。

実際の波形の符号化は、一定時間間隔で波の高さを測定するサンプリングに よって行われます。 さて、サンプリング間隔 T によって、どこまでの周波数帯域までの波が表現 できるかについては次の定理があります。

標本化定理

fm Hz 以上のスペクトルを持たない帯域制限された信号は、以下で与えられる間隔で標本化された値によって一意に決定される

T12fm

なお、パルス符号変調(PCM: Pulse Code Modulation)はこの原理により、波 を符号化します。


坂本直志 <sakamoto@c.dendai.ac.jp>
東京電機大学工学部情報通信工学科