講評

今年度の合格率はものすごく低かったです。 で、原因は色々あるとは思うのですが、一つの原因として4年生の運用を変え たことがあったのではと思っています。

不合格レポートを見直して気づくのは、多くの人が同じような答案を書いて同 じように落ちているということです。 しかも、2,3年生のレポートをよくよく見ると、4年生のレポートとよく似てい るような気がします。

まあ、偶然の一致かもしれませんが、一つの推理として、4年生のレポートが 流出して、それを写して出したのではとも考えられます。 2,3 年生が4年生のレポートをそのまま写して提出した場合に、合否がどうな るかということに関しては厳密には決めていません。 しかし、一応、建前上、同一の採点基準で合否を決めることになっています。

さて、ここで4年生が合格したレポートを写せば合格できるのではと思うかも しれませんが、それは甘いです。 まず、4年生の合格レポートと言うのはプログラムを得意とした優れたレポー トではありません。したがって、基本的には余裕で合格しているわけではなく、 むしろギリギリで一歩間違えれば不合格になってしまうようなレポートです。 さらに、4年生は合格するまでやるので、基本的には指導レベルが違い、 レポートの「てをには」まで指示したりもします。 その上で何度も何度も不合格になった上での合格です。 それにもかかわらず、持ってきたレポートの表現が不合格の場合もあります。 その場合は、最終的には面接して質問をします。 質問に答えられた場合は、レポートの表現をその場で手書きで訂正させた上で受け取り をする場合があります。 つまり、4年生の手元には不合格レポートしか残っていないにも関わらず、合 格レポートを提出できている場合もあります。 この手のレポートをコピーして提出した場合、2,3年生の評価方法では不合格 になります。

ということで、史上最悪の合格率となってしまいました。 昨年度の12月は毎日大勢の学生が押し寄せ、毎晩2、3時間補講をやりつづけた ものですが、今年度の12月は1、2回しか開いてなかったと思います。 その時点で嫌な予感はしていたのですが、まあ仕方ないですよね。 合格レポートやら、正解プログラムが出回っている中で、何をすれば合格でき るかということは逆にもっとシビアになっていることに気づいて下さい。

この科目はやることが多くて面倒なのはわかるのですが、レポートの課題の難 易度としては、プログラミングが分かる人なら1、2時間で解けてしまうような 内容です。 なぜこの様な内容になっているかということ、本学は実学にこだわらなければ ならないからです。そのため、企業の新入社員研修レベルの現代プログラミン グ技法をターゲットとしているわけです。 従ってこれをマスターしていないうちは、情報系の学科としては卒業して社会 に出て行ってもらうわけにはいきません。 しかも、本学科の3年生以上の科目がこの科目よりやさしいわけでは無く、し かも、この講義でやったことはそのまま使えるわけです。 ですので、是非、頑張って2年のうちに取るようにしてください。 4年生でやると就職活動で不利になりますし、研究活動などにも重しになりま す。なんのメリットもありません。

坂本直志 <sakamoto@c.dendai.ac.jp>
東京電機大学工学部情報通信工学科